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マウスへの正しい投与方法を選ぶには?経口投与VS腹腔内投与VS静脈内投与

 

動物実験では、経口、腹腔内、静脈内、脳内注射など、さまざまな投与方法があります。しかし、私たちはその理由を知らずに、研究室で一般的な投与方法を選択してしまうことが多いです。例えば、我々の研究室では腹腔内注射を選択することが多いが、周りの人がその理由についてあまり知らないです。実際、その中には多くの知識が含まれています!今回は、薬理学・薬物動態学の観点から、投与方法の選択について一般的な原則を紹介します。

1 実験動物への一般的な投与法

実験動物への一般的な投与方法は、経口、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、脊髄内、脳室内、皮内、リンパ管、鼻腔、舌下などがあります。

 

Administration Methods

图片下文字一般的な投与方法の操作図(それぞれ、経口投与、腹腔内投与、脳内投与、尾静脈注射)

1.1 経口投与(po

薬物循環経路:食道→胃→小腸→小腸毛細血管(血中吸収)→空腸静脈→上腸間膜静脈→肝門脈→肝臓→肝静脈→下大静脈→右心房→右心室、血中循環に吸収されます;

特徴:安全で便利。消化管から吸収され、消化管での初回通過代謝と肝臓での初回通過代謝があり、一部の化合物のバイオアベイラビリティは非常に低くなります;

難易度:主に経口投与で、操作も比較的簡単です;

投与量:マウス:0.1-0.8ml;ラット:1-3ml。

1.2 腹腔内投与(ip

薬物循環経路:上腸間膜静脈→肝門脈→肝臓→肝静脈→下大静脈→右心房→右心室、血液循環に吸収されます;

特徴:消化管での初回通過代謝はないが、肝臓での初回通過代謝が残っており、バイオアベイラビリティが高いです;

難易度:比較的簡単;

投与量:マウス:0.2-0.8ml;ラット: 1-2ml。

1.3 静脈内投与(iv

薬物循環経路:薬物が直接血液に入ます;

特徴:吸収バリアと初回通過代謝バリアがなく、バイオアベイラビリティが最も高いです;

投与の難易度:難しい;

投与量:マウス:0.05-0.2ml。

1.4 皮下注射(sc)と筋肉内注射(im

薬物は主に皮下および筋肉内の毛細血管から吸収される。吸収は静脈内注射ほど完全ではないが、皮下注射や筋肉内注射も消化管や肝臓をうまく回避します;

投与量:マウス:0.05-0.1ml、ラット:0.1-0.2ml

1.5 皮内注射(id

皮内注射とは、表皮と真皮の間に薬液を注入することです。アレルギー性皮膚炎の抗生物質と同じように皮内注射で注入します。皮内注射では薬物の吸収がゆっくり行われています;

投与量:マウス <0.05ml;ラット: <0.1ml

 

Administration Parts

图片下文字:4つの注射法の投与部位[1]

1.6 脳内注射

上図に示すように、脳立体地図に従ってロケータの座標を調整し、脳室や海馬、黒質などの脳の特定組織に薬剤を正確に注入します。

特徴:脳内に直接薬物を注入するため、薬物吸収や血液脳関門をスキップし、脳内に入る薬物の量を確保できます[2]。脳内注入量は0.03ml未満と非常に少ないです。

以上のような様々な投与方法の特徴を理解した上で、動物実験に適する方法を選びましょう

2 実験の目的に応じて選

動物実験は、有効性実験、薬物動態実験、毒性実験、トキシコキネティクス実験に分けることができます

2.1 薬力学的実験例えば、静脈注射や腹腔内注射は吸収速度が速く、救急治療に適しています。

2.2 薬物動態実験バイオアベイラビリティから見れば、経口バイオアベイラビリティを検討したい場合は動物経口投与、腹腔内バイオアベイラビリティを検討したい場合は腹腔内投与を用います;

2.3 毒性実験特に急性毒性実験では、投与経路によって薬物曝露量や吸収率が異なるため、化合物の毒性は大きく異なります。

次の表は、さまざまな投与方法のバイオアベイラビリティを示しています。静脈内投与が最も高く、次いで腹腔内投与>筋肉内投与>皮下投与>経口投与の順です。まとめると、バイオアベイラビリティの違いから、妥当な投与方法を選びます[3]。

Bioavailability

3 薬物の性質をさらに組み合わせる

主に薬物の溶解性、安定性、毒性を考慮します。薬物の性質が合わない場合、実験の目的に応じても対応できない可能性があります。例えば、静脈注射では薬剤が溶けにくいことがわかったり、経口投与では胃腸障害が強いことがわかったりします。

3.1 溶解性:医薬品には主に低分子化合物、天然エキス、漢方薬などが含まれることが多いです。薬物の物理化学的性質の違いから、溶媒に対する溶解度が異なることが多いです。水が最も良い溶媒だが、多くの低分子化合物は水に溶けません。そのため、適切な溶媒を見つけ、様々な投与方法に応じながら利用可能な剤形を参照する必要があります。

次の表は、一般的投与方法に適した医薬品の剤形で

Dosage Forms

備考

経口投与:薬物が均一で安定である限り、多くの任意の剤形があります。

静脈内投与:剤形に対する要求が比較的高いです。完全に溶解させるため、水中油型エマルションなど薬物の粒子が赤血球よりもはるかに小さい系が必要です。したがって、不溶性の剤形は静脈内注射には使えません。

脳内および皮下注射:脳内注射と皮下注射は投与量が少ないため、併用する必要があります。例えば、同じ投与量でも脳内注射と皮下注射では薬物濃度が高くなるので、薬物の溶解度が実験内容に満たしているかどうかを検討する必要があります。

3.2 安定性:動物の消化管は一定のpH値を持っており、ある部分は非常に酸性です。生体内でpHが不安定な化合物は、経口投与以外の方法で投与する必要があります;

3.3 毒性:経口投与で腸毒性が認められた場合、腸からの吸収を避けるため、静脈内投与など他の投与方法を検討します。漢方薬成分の腸毒性は比較的高い可能性があるため、漢方薬の活性化合物を開発する際には一定の警戒が必要です。

4 最後に、研究開発コストと技術的難易度を考慮する

化合物スクリーニングの初期段階では、溶解性などを向上させるためにあまり多くの費用と時間を投資することできないので、投与方法に対応した許容可能な剤形を選択する必要があります。長期の静脈内投与が困難な場合には、静脈内投与よりバイオアベイラビリティが少し悪い腹腔内投与を選択することも考えられます。

新薬開発の観点からみれば経口投与が最も優れている投与方法です

 

Route of administration of new drugs

下図は2004年から2013年までにFDAが承認した新薬製剤投与方法の割合を示すグラフである。中でも経口投与が46.61%と最も多く、次いで注射投与となっています。

图片下文字:2004-2013年 FDAが承認した新薬投与方法[5]

経口投与が最も便利で経済的で安全な方法なので、一番よく使われています。そのため、経口投与が可能な薬剤は決して静脈内投与にしないといわれています。それに、静脈内投与は研究開発コストが高いだけでなく、リスクも高いというデメリットもあります。しかし、すべての薬物や条件が経口投与に適しているわけではありません。具体的な実験研究に応じて最も適切な投与方法を選択すべきです。

以上、動物実験における薬物投与方法の選び方に関する戦略や原則を紹介しました。本稿は私の普段の経験をまとめたものです。もしご質問があれば、どんどん質問してお互いに学び合いましょう。